REvision2025:脱炭素社会への大競争と日本の未来

こんにちは。本日は先日行われた「REvision2025」という国際シンポジウムについて内容をまとめていこうかと思います。

1. REvision2025とは?

「REvision2025」 は、自然エネルギー財団 が主催する年次イベントで、再生可能エネルギー(Renewable Energy:RE)を中心に、脱炭素社会の実現に向けた最新の動向や課題を議論する国際会議です。

2025年に向け、世界のエネルギー転換が加速する中、日本のエネルギー政策や産業のあり方を問う場として、多くの専門家、企業、政策担当者が集結します。今年のテーマは 「脱炭素への大競争と自然エネルギー」 であり、以下のポイントが議論されました。

  1. 世界の自然エネルギーの動向と日本の立ち位置
  2. 地方創生と自然エネルギーの関係
  3. 洋上風力発電の課題と展望
  4. 産業の脱炭素化(特に鉄鋼業)

世界が再生可能エネルギーの導入を加速させるなかで、日本はどのように競争力を確保し、持続可能な社会を築いていくのか。そのヒントが、このイベントには詰まっていた。


世界の自然エネルギーの潮流と日本の課題

開会セッションには、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のガウリ・シン事務局次長 をはじめとするエネルギー専門家が登壇し、再生可能エネルギーの国際的な動向を紹介した。特に、太陽光発電の拡大はかつてないほどのスピードで進んでおり、世界のエネルギー転換は着実に進行しているという。

一方で、日本はまだ世界の流れに追いつけていない。特に、再生可能エネルギーの導入速度や送電網の整備が遅れていることが課題として指摘された。欧州や中国は国家戦略として再生可能エネルギーを推進しており、それに対抗するには、政策の見直しや投資の加速が不可欠だ。

再生可能エネルギーは単なる「環境対策」ではなく、経済競争力を左右する要素となっている。脱炭素社会へとシフトする流れのなかで、日本が遅れを取れば、国際競争力を失いかねない。再生可能エネルギーを軸とした経済成長戦略が、いま求められているのだ。


地方創生の鍵としての自然エネルギー

エネルギーの問題は、大都市圏だけの話ではない。地方においても、再生可能エネルギーは大きな可能性を秘めている。第1セッション「自然エネルギーは地方創生の鍵」では、業務スーパー創業者であり「町おこしエネルギー」の代表を務める沼田昭二氏 が登壇し、地域主導の再生可能エネルギープロジェクトについて語った。

沼田氏が手がける地熱発電プロジェクトは、地域の資源を活用しながら持続可能な発電モデルを確立するもので、地元の雇用創出や経済活性化にも貢献している。また、石狩市では洋上風力発電プロジェクトが進行中であり、地域と企業が連携することで、エネルギーの地産地消が可能となる。

地方での再生可能エネルギーの導入は、単に環境負荷を減らすだけでなく、地域経済の活性化にもつながる。政府の補助金や規制緩和を活用しながら、こうしたプロジェクトをさらに推進していくことが重要だ。


日本の洋上風力発電はなぜ遅れているのか?

洋上風力発電は、日本の脱炭素戦略のなかでも特に大きな可能性を秘めた分野だ。第2セッション「洋上風力発電:加速への条件」では、シーメンス・エナジーやMHIべスタスジャパンの代表が、洋上風力発電の課題について語った。

現在、日本の洋上風力発電は欧州やアメリカに比べて大幅に遅れている。その理由のひとつが、サプライチェーンの未整備だ。風力タービンの製造や船舶調達などのインフラが整っておらず、大規模なプロジェクトの実施が難しい状況にある。

この問題を解決するには、国内製造基盤の強化が必要だ。さらに、官民が連携して投資を促進し、安定した洋上風力発電の供給体制を整えることも重要である。海洋国家である日本にとって、洋上風力発電の成功は、エネルギーの自給率向上にもつながる。


産業の脱炭素化に向けて、鉄鋼業の変革が求められる

エネルギー分野だけでなく、産業界においても脱炭素化の流れは加速している。第3セッション「産業脱炭素化の牽引力に:鉄鋼のグリーン市場を創る」では、鉄鋼業のグリーンスチール(環境負荷の少ない鉄鋼)の需要拡大が議論された。

鉄鋼業は世界的に見てもCO2排出量が多い業界のひとつであり、脱炭素化が急務とされている。そこで注目されているのが、水素を活用した「水素還元製鉄」だ。従来の石炭を使った製鉄法と比べてCO2排出量が格段に少なく、カーボンニュートラルの実現に貢献する技術として期待されている。

グリーンスチールの市場が拡大すれば、日本の鉄鋼業の国際競争力は維持できる。しかし、そのためには政府の補助金やカーボンプライシングの導入など、適切な支援策が求められる。企業単体の努力だけでなく、政策的な後押しが必要な分野だ。


脱炭素社会の未来を見据えて

「REvision2025」の議論を通じて明らかになったのは、脱炭素社会の実現は、単なる環境対策ではなく、日本経済の競争力を左右する重要なテーマである ということだ。

再生可能エネルギーの導入を加速させ、地方と都市の両方で持続可能なエネルギーシステムを構築すること。そして、産業界でも脱炭素化の流れを強化し、新たな技術開発と市場形成を進めること。これらが今後の日本にとっての大きな課題となる。

日本が2050年のカーボンニュートラルを達成するためには、政府、企業、地域社会が一体となって取り組む必要がある。エネルギーの未来は、私たちの選択次第だ。「REvision2025」での議論を参考にしながら、私たちもそれぞれの立場で何ができるのかを考えていきたい。